Uncategorized

春の雨軒の知らざる人の列

朝、雨の中を自転車で通勤する。本降りではないけれど、じわじわと濡れていく雨だった。ふとバス停を見ると、いつもの列がない。その代わり、少し後ろの店の軒先に、人が並んでいた。誰も言葉を交わさない。けれど皆、同じように雨を避け、同じ方向を向いてい...
Uncategorized

春隣指の乾きを許しけり

スーパーで買い物をしたあと、袋に品物を詰める。レジ袋の口がうまく開かず、少し手間取る。以前は、手の潤いなど意識したこともなかった。最近は、なかなか開かないことも増えてきた。しばらくは意地を張っていたけれど、ここ何週間かは、ためらわずに指先を...
Uncategorized

春雨や烏ことばの澄みにけり

朝、小雨の中を自転車で進んでいると、カラスが何羽かで鳴き交わしていました。カーカーと短い声、低い声、高い声。どこか情緒のある調子で、互いに言葉を交わしているようでした。人はあれこれと考えを巡らせ、はっきりしない思いの中で堂々巡りをしてしまう...
Uncategorized

春の雲我が身ひとつの定まらず

人の目を気にせず生きたいと思いながらも、実際にはなかなかそうはいきません。嫌われたくない、よく思われたい、評価されたい。そうした気持ちに自分を守ろうとする心も混ざり、気づけば同じところを巡っているように感じることがあります。
Uncategorized

春の空まだ何もない幸せよ

晴れた土曜の午前。まだ一日が始まっていない、白い時間。
Uncategorized

春の星人の世界の遠さかな

先日、国際宇宙ステーションが肉眼で見えることを知り、時間を調べて夜空を見上げてみました。最初はどれなのか分からず、飛行機ではないかとも思いましたが、星のような光が空を進んでいきました。その速さと軌跡を見て、あれが宇宙ステーションなのだと分か...
Uncategorized

余寒なほ人の動きに胸ざわり

年度の区切りを迎え、いまは来年度に向けた準備を進めています。人の出入りがあったり、新しい顔ぶれが加わったりと、周囲の空気も少しずつ動き始めています。その変化を感じると、どうしても気持ちが落ち着かなくなります。不安がありますが、できることを一...
Uncategorized

春の水寄り添ふほどに澄みにけり

周りと歩調を合わせることが苦手な人を見ることがあります。注意を受けたり、思うようにいかず戸惑っている様子を見ると、胸が痛みます。できることは多くありませんが、少しそばにいて、同じ時間を過ごす。寄り添うことしかできなくても、その時間には意味が...
Uncategorized

霙降る言葉をしまふ帰り道

人の心は分からないものだと分かっていても、どうしても引っかかることがあります。自分だけがそう感じているようで、余計に気持ちの置き場がなくなります。かといって、すべてを流してしまえば、自分が都合のいい人間になってしまうようにも思えてしまいます...
Uncategorized

春寒や笑ひて帰る影ひとつ

人と会うというのは、嬉しさと同時に、自分を見つめ直す時間でもあるのかもしれない。春近しとはいえ、まだ少し冷たい昼だった。