春の雨軒の知らざる人の列

朝、雨の中を自転車で通勤する。

本降りではないけれど、

じわじわと濡れていく雨だった。

ふとバス停を見ると、いつもの列がない。

その代わり、少し後ろの店の軒先に、人が並んでいた。

誰も言葉を交わさない。

けれど皆、同じように雨を避け、同じ方向を向いている。

普段は何気ない軒先が、

このとき確かに人を受け止めている。

この軒は、こうして誰かの役に立っていることを、

知っているのだろうか、と思った。

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