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草刈の匂ひにほどけるこころかな

今日は河口湖のあたりを歩いた。どこからか、草を刈ったあとの匂いが漂ってくる。あの青く、少し湿ったような匂い。懐かしさとともに、気持ちがすっと落ち着いていくのを感じた。特別なことではないけれど、こういう瞬間に、ふと自分の中が静まっていく。
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青葉風認めてなおも心さやぐ

自分の痛みを、わかってほしいと思うことがある。できれば同じ気持ちになって、同じように相手を嫌だと思ってほしい。けれど、その人は、どこか魅力があって、周りの人は自然と惹かれていく。その様子を見るたびに、また心がざわついてしまう。それでも、その...
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衣更えためらひ越えて歩み出す

今日から半袖で出勤した。少し肌寒さはあったけれど、思い切って袖を通したその瞬間に、気持ちが切り替わったように感じた。衣替えは、ただ服を変えるだけではなく、心に小さなスイッチを入れてくれる。少しのためらいを越えて、また一歩、前に進んでいく。
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腕まくり褒めのひとこと風となる

普段、あまり褒められることもなく、一人で卑屈な気持ちになることがある。そんなとき、不意に人から言葉をかけられると、それだけで「もう少し頑張ってみよう」と思える。まだ自分に、そう思う力が残っていたのかと、少し驚く。そして同時に、人のひとことが...
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夜の春や積もりしものの寄せてくる

夜、なかなか寝つけないことがあります。不安や悔しさ、焦りや後悔のようなものが、静かな中でふと立ち上がってきます。若い頃とは違い、それらはその場の出来事だけではなく、これまでの時間の積み重なりのようにも感じられます。消そうとしても消えるもので...
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春の朝鳥のこゑしてまだ起きず

朝、目が覚めると、ちゅんちゅんと鳥の鳴き声が聞こえてきた。よく耳を澄ますと、ひとつではなく、いくつもの声が重なっている。それぞれに違うリズムがありながら、不思議と心地よい。布団の中で、その音をただ聞いている。急ぐ理由もなく、まだ起き上がらな...
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春嵐や言葉すれども通はざる

人の気持ちをうまく汲み取れないように見える人がいます。けれど本人は、それができていると思っているようでもあります。こちらもまた、自分の見え方が正しいと思い込んでいるのかもしれません。互いに言葉を交わしていても、どこか噛み合わない感覚が残りま...
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春の朝行く先問へば黙したる

朝の画面には、これからの生き方についての言葉が並んでいた。区切りや整理の仕方、先を見据えるための指針。問いを立ててみる。しかし、返ってくるのは言葉ではなく、しばらく続く間だけだ。その間を埋めることなく、今朝も一日は進んでいく。
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春の夜や余白の内に身構へる

人の気配や言葉が去ったあと、ただ空間だけが残っている。何も起きていないようでいて、そこには確かに、わずかな緊張が残る。その「余白」の中で、自分だけがまだ解けずにいる。
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春の風隠せぬものの匂ひ立つ

今日は暖かい一日だった。外に出ると、どこからかコーヒーの香りが漂ってくる。気持ちがゆるみ、ふと飲みたくなる。その一方で、下水の匂いも混じり、少しむっとする空気も感じた。暖かくなると、ふだんは隠れているものが、自然と表に出てくる。見えないけれ...