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春の土まだ芽の出ぬも土のうち

目標も見えず、周りばかりが前に進んでいるように思える。そんなとき、自分だけが取り残されているようで、少し惨めな気持ちになる。けれど、春の土の中では、まだ芽の出ていないものも、確かに息づいている。見えないからといって、何もないわけではない。焦...
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春風や人を送れる声ひとつ

先日、ホテルに泊まったときのことを思い出しました。チェックアウトの際に「ありがとうございました」ではなく、「いってらっしゃいませ」というやわらかく送り出すような言葉。それは相手のこれからを思った、さりげない心遣いのように感じました。世の中に...
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花冷えや人のまなざし偏りて

人のふるまいを見ていると、ときどき強い違和感を覚えることがある。同じ人なのに、相手によって態度が変わる。やさしさの向く先が、はっきりと偏っている。それはきっと、人間の本能なのだろう。そう思えば理解はできる。けれど、理解できることと、受け入れ...
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春の塵またもうひとつの忘れもの

今年は落とし物の整理をすることが多くなりました。上着や眼鏡など、無くすと困るものがいくつも並びます。一度確認しても、気づけばまた新しく置かれている。どうしてこんなものを無くしてしまうのだろうと思う一方で、よくこれだけ見つかるものだとも感じま...
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春の雨軒の知らざる人の列

朝、雨の中を自転車で通勤する。本降りではないけれど、じわじわと濡れていく雨だった。ふとバス停を見ると、いつもの列がない。その代わり、少し後ろの店の軒先に、人が並んでいた。誰も言葉を交わさない。けれど皆、同じように雨を避け、同じ方向を向いてい...
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春隣指の乾きを許しけり

スーパーで買い物をしたあと、袋に品物を詰める。レジ袋の口がうまく開かず、少し手間取る。以前は、手の潤いなど意識したこともなかった。最近は、なかなか開かないことも増えてきた。しばらくは意地を張っていたけれど、ここ何週間かは、ためらわずに指先を...
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春雨や烏ことばの澄みにけり

朝、小雨の中を自転車で進んでいると、カラスが何羽かで鳴き交わしていました。カーカーと短い声、低い声、高い声。どこか情緒のある調子で、互いに言葉を交わしているようでした。人はあれこれと考えを巡らせ、はっきりしない思いの中で堂々巡りをしてしまう...
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春の雲我が身ひとつの定まらず

人の目を気にせず生きたいと思いながらも、実際にはなかなかそうはいきません。嫌われたくない、よく思われたい、評価されたい。そうした気持ちに自分を守ろうとする心も混ざり、気づけば同じところを巡っているように感じることがあります。
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春の空まだ何もない幸せよ

晴れた土曜の午前。まだ一日が始まっていない、白い時間。
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春の星人の世界の遠さかな

先日、国際宇宙ステーションが肉眼で見えることを知り、時間を調べて夜空を見上げてみました。最初はどれなのか分からず、飛行機ではないかとも思いましたが、星のような光が空を進んでいきました。その速さと軌跡を見て、あれが宇宙ステーションなのだと分か...