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冬の暮立てぬ我にも影は立つ

あちらを立てれば、こちらが立たず。いつも正しく振る舞えるわけではない。言葉は詰まり、無力さを覚える金曜日。立てていないように感じる私にも、足元には影が伸びている。
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朝寒やポットの湯気のよれながら

朝はまだ冷えます。職場にいちばんに入り、窓を開け、ポットに水を入れ、いつもの準備をひとつずつ済ませていきます。この時間が一日の土台のようにも感じます。ふとポットを見ると、湯が沸きかけていました。まっすぐではなく、少しよれながら揺れています。...
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春浅しまだ退かぬ影一つ

今日は雨、寒さがやわらぎきらない一日でした。冬でもなく、すっかり春でもない。そんな曖昧な時間の中に立っている感覚です。退ききれない影は、弱さかもしれませんし、未練かもしれません。けれど同時に、まだ歩こうとする気配でもあるのだと思いました。
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春めくや粗大ごみある路地明るし

今日はずいぶんと暖かい一日でした。三寒四温という言葉が、ようやく実感を伴ってくる頃でしょうか。自転車で近所を走っていると、家の前に粗大ゴミがいくつか出されていました。家電製品や洗濯物干しラック。役目を終えた生活の道具たちが、整然と並んでいま...
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春浅し子の背の奥のしづけさよ

背中は表情よりも多くを語ることがあります。その奥にある静けさは、外の季節よりもまだ浅い春のようでした。季節の推移はそれぞれ違うのだと思いました。
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寒の朝斜光やわらか背を包む

二月の終わりの朝。空気はまだ冷たいのに、朝日はどこかやわらかい。自転車で通勤途中、車線を変えようと上体をひねった瞬間、斜めから差す光が背中を包みました。寒さの中にありながら、もう次の季節を含んでいました。
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木枯らしや音のゆくえに立つ子かな

風の音が響いた。一瞬、表情が止まる。子は席を立ち、窓の方へ向かった。冬の風も子供の好奇心もまた、強い。
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街灯に満ちてなお吹く虎落笛

仕事を終え、自転車で帰る夜。街灯の光は、疲れた自分を迎えてくれる。その輪の中にも、冬の風は吹いている。安心の中に、自然の強さが満ちている。光と風を受けながら、今日も一日を終える。
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灰空に早梅白きまぶしさよ

30キロ走の途中、風と雪に打たれながら走っていました。空は灰色。脚も重く、心も折れかけていました。そのとき、遠くに早梅が見えました。白と淡い紅が、灰色の世界の中で地味ではあるが、浮かび上がって見えました。揺れもせず、ただ佇んでいる。励まされ...
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寒月やアポストロフィの行方

アポストロフィ’s「〜の」と結ぶ、小さな印。”誰かの”ということばが、移ろいやすい、外の気配に感じる。その揺らぎに、心がふと動くことがある。耳はどこかで周囲の音を探している。軸を定めたいと願いながら、揺れている自分に気づく。揺れは消えない。...