Uncategorized

Uncategorized

「灰空に早梅白きまぶしさよ」

30キロ走の途中、風と雪に打たれながら走っていました。空は灰色。脚も重く、心も折れかけていました。そのとき、遠くに早梅が見えました。白と淡い紅が、灰色の世界の中で地味ではあるが、浮かび上がって見えました。揺れもせず、ただ佇んでいる。励まされ...
Uncategorized

「寒月やアポストロフィの行方」

アポストロフィ’s「〜の」と結ぶ、小さな印。”誰かの”ということばが、移ろいやすい、外の気配に感じる。その揺らぎに、心がふと動くことがある。耳はどこかで周囲の音を探している。軸を定めたいと願いながら、揺れている自分に気づく。揺れは消えない。...
Uncategorized

「便座より冬日を知りぬひとりかな」

朝、いつものように便座に座ったとき、ふと違和感がありました。冬のあいだは低温に設定しているその温もりが、今日は少しだけ熱い。「ああ、今日は気温が高いのだな」と、そこで知りました。窓を開ける前に、天気予報を見る前に、まず身体が季節を受け取って...
Uncategorized

「冬澄むや校庭越しの声ひとつ」

早朝、まだ街は目を覚まし切っていない。三階の窓を開け終え、校庭を挟んだ向こうのバス停から、扉が開く音のあと、「◯◯着です。」というアナウンスが澄んだ空気に乗って耳に届いた。冬の乾いた朝に、その一言がやけにやさしく響いた。日常が今日もきちんと...
Uncategorized

「朝月や高く残りてペダル踏む」

早朝の通勤路。信号待ちの空に、大きな橙の月がまだ高く残っていた。少し背中を押されたような、寄りかかりたいような、そんな気がした。
Uncategorized

「街灯の尽くるあたり虎落笛」

夜道を歩いていると、規則正しく続いていた街灯が、ふいに途切れる場所がある。その先は、形のはっきりしない闇。足を踏み入れるのをためらうほどではないが、少しだけ胸がざわつく。そのとき、風が草木や門扉を鳴らす。虎落笛(もがりぶえ)の乾いた音が、闇...